フリーランスが知っておくべきフリーランス新法の概要|施行により何が変わる?

フリーランスが知っておくべきフリーランス新法の概要|施行により何が変わる?

フリーランスの方であれば「フリーランス新法」を耳にしているのではないでしょうか。

しかし、まだ多く広まっていない法律であるために、具体的な内容について理解している方は少ないでしょう。

そこで本記事では、フリーランス新法の概要について解説します。

フリーランス新法の前に知っておくべき用語

フリーランス新法の前に知っておくべき用語

フリーランス新法を知る上で、3つの専門用語を理解しておきましょう。

  • 業務委託
  • 特定受託事業者
  • 特定業務委託事業者

以下で、それぞれについて解説します。

業務委託

業務委託契約は、フリーランスと企業の関係を規定する契約です。

この契約は、企業が自社業務の一部を外部に委託する際に使用されます。

具体的には、企業(委託者)がフリーランスを含む外部(受託者)に業務を依頼する際、両者の間で交わされる契約されます。

「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいう。

引用元:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律|厚生労働省

特定受託事業者

特定受託事業者とは、一人で業務を行うフリーランスや一人社長を指します。

具体的には、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 業務委託契約に基づいて仕事をしているフリーランスまたは法人の一人社長
  • 従業員を雇用していない

ただし、短期や短時間の一時的な雇用は従業員とみなされません。

これらの条件を満たす個人事業主は特定受託事業者として認識され、適切な保護を受けることができます。

「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいう。

引用元:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律|厚生労働省

特定業務委託事業者

特定業務委託事業者は、フリーランスなどに仕事を依頼している事業者を指す言葉です。

特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用するものをいう。

引用元:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律|厚生労働省

フリーランス新法とは?

フリーランス新法とは?

フリーランス新法は、フリーランスの労働環境を改善し、公正な取引を促進するための法律です。

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」ですが、フリーランス新法やフリーランス保護新法とも呼ばれています。

フリーランスの増加に伴い、権利を守り、安定した労働環境を整備するために策定され、2024年11月1日に施行される予定です。

以下では、フリーランス新法をより具体的に知るために、他の法律との違いや対象について解説します。

下請法との違い

フリーランス新法は、従来の下請法の限界を超え、フリーランスを広く保護する法律です。

これまでの下請法では、多くのフリーランス取引が保護対象外となっていたのです。

下請法は発注元企業の資本金が一定以上の場合のみ適用されるため、フリーランスの主な取引先である中小企業には適用されにくいという問題がありました。一方、フリーランス新法は資本金の制限なく全ての取引に適用されるため、より多くのフリーランスを保護できます。

労働基準法との関連性

原則として、フリーランスには労働基準法などの労働関係法令が適用されません。

これは、フリーランスが独立した事業者として扱われるためです。

しかし、実際の業務実態によっては例外もあります。契約の形式や名称に関わらず、個々の業務の実態から「労働者」と判断される場合、労働関係法令が適用されるケースがあります。

例えば、特定の企業に常駐して指示を受けながら働くフリーランスは、実質的に労働者とみなされる可能性があります。

フリーランスガイドラインには、この判断基準や具体的な考え方が詳しく記されています。

フリーランス新法の対象者

フリーランス新法の対象者は、主に従業員を持たないフリーランスと発注事業者間のBtoB取引に限定されます。

この限定的な適用範囲は、フリーランスの特性と、既存の法律との整合性を考慮して設定されています。

具体的には、以下のケースが対象です。

  • フリーランスと発注事業者間のBtoB取引
  • 業務委託契約に基づく取引
  • フリーランスが従業員を持たない場合(短期・短時間の一時雇用は除く)

一方、BtoC取引、売買取引、フリーランス同士の取引は対象外です。また、従業員の定義は、無期雇用者や週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある者とされています。

なぜフリーランス新法が必要なのか?

フリーランス新法は、フリーランスの労働環境を改善し、権利を保護するために必要不可欠な法律です。

この法律が必要な理由は、従来の労働法制がフリーランスを十分に保護できていないからです。

日本の労働政策は主に雇用を前提としており、フリーランスは法的保護の隙間に置かれてきました。

そのため、フリーランスの契約によるトラブルが多数、起きていたのです。

2020年の調査では、37.7%のフリーランスが取引先とのトラブルを経験し、そのうち約3割が泣き寝入りしているという実態が明らかになりました。また、40.4%のフリーランスが1社のみと取引しており、交渉力の弱さが浮き彫りになっています。

一方で、フリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円と急速に拡大しています。

フリーランス新法は、この成長市場を支える個人事業主の権利を守るために必要な法律なのです。

フリーランス新法による発注事業者の義務

フリーランス新法による発注事業者の義務

フリーランス新法の具体的な内容について解説します。

おおまかに分けると、以下の5つが挙げられます。

  • 書面による明確な契約内容の提示
  • 60日以内の報酬支払
  • 募集情報の明確な提示
  • フリーランスへの不当な扱いの禁止
  • 労働環境整備に努める
  • 解除等の予告について

それぞれの内容について、以下で解説していきます。

書面による明確な契約内容の提示

フリーランス新法では、発注事業者に対し、フリーランスとの契約内容を書面またはメールで明確に提示することが義務付けられます。

具体的には、以下の項目を明示する必要があります。

  • 給付の内容
  • 報酬の額
  • 支払期日
  • その他公正取引委員会規則で定める事項

また、継続的な業務委託の場合、原則として契約終了の30日前までに予告が必要です。

フリーランスから要求があれば、電子的に提示した内容も書面で交付しなければなりません。

60日以内の報酬支払

フリーランス新法では、発注事業者に60日以内の報酬支払義務が課されます。

この規定は、フリーランスの安定した収入を確保し、不当な支払い遅延を防ぐためです。

従業員を有する発注事業者は、成果物の受取と検品後、60日以内にできるだけ早く報酬を支払う必要があります。

例えば、「月末締め/翌月末払い」は問題ありませんが、「月末締め/翌々月15日払い」は最大75日かかるため違法となります。

再委託の場合は、発注元からの支払い後30日以内の支払いが求められます。

ただし、フリーランス間の取引には適用されません。

募集情報の明確な提示

フリーランス新法は、発注事業者に対し、業務委託先募集時の正確かつ最新の情報提供を義務付けています。

具体的には以下のような表示が禁止されています。

  • 実際より高い報酬額の表示
  • 虚偽の企業名での募集
  • 報酬額が確約されているかのような誤解を招く表示
  • 募集終了後の古い情報の放置

ただし、当事者間の合意があれば、募集時の条件から変更することは可能です。

フリーランスへの不当な扱いの禁止

フリーランス新法は、発注事業者によるフリーランスへの不当な扱いを禁止しています。

具体的には、以下の行為が禁止されています。

  • 正当な理由のない成果物の受領拒否
  • 不当な報酬の減額
  • 不当な成果物の返品
  • 著しく低い報酬の決定
  • 不当な商品購入や役務利用の強制
  • 不当な経済的利益の要求
  • 不当な給付内容の変更ややり直しの要請

これらの禁止事項は、長期的な業務委託に適用されますが、具体的な期間は今後の政令で定められる予定です。

労働環境整備に努める

フリーランス新法は、発注事業者にフリーランスの労働環境整備を義務付けています。

具体的には以下の義務が課されています。

  • 出産、育児、介護と業務の両立への配慮
  • ハラスメント対策(相談体制の整備など)
  • 妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援
  • セクハラ、マタハラ、パワハラ等の防止措置

ただし、これらは主に「継続的業務委託」に適用され、一回限りの契約には適用されません。

解除等の予告について

フリーランス新法は、発注事業者に対し、フリーランスとの契約解消時に適切な予告を行うことを義務付けています。

具体的には、以下の義務が課されています。

  • 長期的な業務委託の場合、契約解除または不更新の30日前までの予告
  • フリーランスからの要求に応じた契約解除理由の遅滞なき開示

これらの規定は、労働契約における解雇予告や解雇理由証明書の請求に準じたものとなっています。

フリーランス新法に違反した場合

フリーランス新法に違反した場合

フリーランス新法に違反した発注事業者には、厳しい措置が講じられます。

具体的な措置は、以下のとおりです。

  • 公正取引委員会、中小企業庁長官、厚生労働大臣による助言や指導
  • 報告徴収・立入検査の実施
  • 命令違反や検査拒否の場合、50万円以下の罰金
  • 従業員の違反行為に対する法人としての責任

特に注目すべきは、違反行為を行った個人だけでなく、その所属する法人も罰則の対象となる点です。

フリーランス新法の注意点

フリーランス新法の注意点

フリーランス新法の解釈と適用には注意が必要です。

フリーランス新法には、まだ多くの曖昧な表現や解釈の余地のある用語が含まれているためです。

とくに条文には「配慮」などの用語が多用されています。

これは個人によって解釈が分かれる可能性があり、実際のトラブル発生時にどのように適用されるかが不明確です。

フリーランスの課題や新たな取り組みを理解しておきましょう

フリーランスの課題や新たな取り組みを理解しておきましょう

先述したように、フリーランス人口は毎年増加傾向にあります。

そのため、フリーランスを取り巻く環境も変化しています。

フリーランスとして働いている人は、これらの変化を無視して通れません。

常にアンテナを立てて、最新の情報を確認しておくようにしましょう。

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