個人事業主がパートやアルバイトを掛け持ちすることは、働き方の多様化が進む中で一般的になっています。
しかし、税金の計算や社会保険の取り扱い、確定申告の必要性など、手続き面で誤解やトラブルが起こりやすい点が多いです。
本記事では、個人事業主がパートやアルバイトを掛け持ちする場合に知っておくべき税金・社会保険の仕組みや、掛け持ちのメリット・注意点まで解説します。

個人事業主はパートやアルバイトを掛け持ちできる?

個人事業主は、原則としてパートやアルバイトと自由に掛け持ちができます。
ただし、実際に掛け持ちする場合は、パート先の規定や副業の可否を事前に確認しないとトラブルになる可能性もあります。
以下では、掛け持ちが認められる条件や注意点について具体的に説明します。
法律上の制限とパート先の規定
個人事業主がパートやアルバイトを掛け持ちすること自体は、法律で禁止されていません。
事業所得と給与所得を両立させることは制度上問題ありませんが、パート先の就業規則によって副業や兼業を禁止している場合もあります。
そのため、働き始める前に必ずパート先の規定や副業可否を確認しておきましょう。
掛け持ちに必要な事前確認
パートやアルバイトを始める際は、まず本業への影響やスケジュールを考慮し、掛け持ち可能かどうかを判断しましょう。
副業を理由に本業が疎かになると、信頼や収入が減少する恐れがあります。
また、複数の勤務先で年末調整が受けられるのは1カ所のみなので、確定申告や納税の手続きも含めて計画を立てておくことが必要です。
個人事業主がパートと掛け持ちする時の税金はどうなる?

事業とパートを両立する場合、税金の計算・申告方法がどう変わるのかを整理していきましょう。
事業所得と給与所得をどのように扱うのか、年末調整や確定申告の注意点まで、以下で解説します。
事業所得と給与所得の区分・合算方法
個人事業主がパートを掛け持ちする場合、税金は事業所得と給与所得を合算して計算します。
事業所得は売上から必要経費を差し引いて算出し、給与所得はパート先からの収入から給与所得控除を差し引いた額です。
最終的に両者を合算した総所得額から控除を差し引き、税額を決定します。
年末調整と確定申告の関係
パート先で年末調整を受けていても、個人事業による所得が20万円を超えていれば確定申告が必要です。
確定申告では、事業所得と給与所得の両方を合算して申告しなければなりません。
年末調整の済んだ源泉徴収票は確定申告の際に重要な資料となるため、必ず保管しておきましょう。
申告でよくある間違い
年末調整で税金をすべて精算したと誤解し、パート収入だけを申告せずに事業所得のみ申告してしまうケースがあります。
これでは本来納めるべき税金よりも少なくなり、追徴課税やペナルティを受けるリスクがあります。
必ず全ての収入を合算し、正しい方法で申告しましょう。
個人事業主・事業とパートを掛け持ちするときの税金計算について

事業とパートの両方で得た収入の税金計算は、事業所得・給与所得それぞれを計算したうえで合算し、各種控除を差し引いて最終的な課税所得を出します。
以下では、計算手順や必要な控除・経費の活用法、実際の税額イメージを解説します。
事業所得・給与所得の計算手順
税金計算では、まず事業所得を「売上-必要経費(-青色申告控除)」で計算し、次にパート収入から給与所得控除を引いて給与所得を算出します。
その後、事業所得と給与所得を合算し、医療費控除や社会保険料控除など各種控除を差し引いて課税所得を確定し、所得税率をかけて納税額を決定します。
控除・経費の活用
事業に関連する支出は漏れなく必要経費として計上しましょう。
青色申告を選択すれば最大65万円の控除が受けられます。
自宅で事業を行う場合は、光熱費や家賃の一部を事業用経費として按分できます。
小規模企業共済やiDeCoの活用も所得控除の有効な方法なので、検討してみましょう。
税額シミュレーション
例えば、事業所得150万円・パート収入100万円の場合、合算後に基礎控除などを引いて課税所得が計算されます。
税率は課税所得金額に応じて異なりますが、複数収入源がある場合でも合算して計算してください。
計算ミスを防ぐためにも会計ソフトの活用や専門家への相談も検討してみましょう。
個人事業主がパート・アルバイトをするメリット

パートやアルバイトを掛け持ちすると、収入が安定したり新しいスキルや人脈が得られるなど、多くのメリットがあります。
一方で本業への影響や健康管理にも気を配る必要もあります。
以下では、実際に掛け持ちで得られるメリットを紹介します。
収入の安定・固定給が得られる
個人事業主は収入が不安定になりがちですが、パートやアルバイトを掛け持ちすることで固定給が得られ、生活費や事業資金の確保に役立ちます。
毎月一定の収入源があることで、急な出費や事業の波にも柔軟に対応できるようになります。
気分転換や新たなスキル・人脈の獲得
パート先で新たなスキルや経験を得られる点もメリットです。
事業とは違う職場環境で刺激や気分転換になり、人間関係も広がります。
多様な現場を経験することで視野が広がり、本業にも新たなアイデアや人脈が生まれるでしょう。
ダブルワークによるリスク分散
事業一本での収入が減少した際でも、パートやアルバイト収入があれば一定の生活を維持できます。
急な売上減やトラブル時に生活基盤を守れるのは掛け持ちの大きなメリットです。
個人事業主がパートを掛け持ちした場合の社会保険

個人事業主がパートと掛け持ちした場合、社会保険の扱いは状況によって異なります。
国民健康保険・国民年金のままか、パート先で社会保険に加入できるかで、保険料や保障内容が変わります。
国民健康保険・国民年金の場合
原則として、個人事業主は国民健康保険と国民年金に加入します。
パート収入が少ない場合も、事業と給与の両方で算定されるため、合計収入が上がると保険料も増える点に注意が必要です。
保険料の計算は自治体ごとに異なります。
| ■個人事業主の保険については以下の記事もおすすめ ・個人事業主の保険料を節税する方法4選!加入保険の見直しもおすすめ ・国民健康保険と社会保険の違いとは?どっちへの加入がお得? ・個人事業主でも社会保険に入れる?社会保険に加入するメリット |
パート先で社会保険に加入できる条件
パート先で社会保険(厚生年金・健康保険)に加入できる条件は、
- 月収8.8万円以上
- 週20時間以上勤務
- 勤務期間が1年以上見込まれる
などです。
条件を満たせば、個人事業主であってもパート先の社会保険に加入できます。
加入した場合、保険料は給与額のみで計算され、事業収入には反映されません。
個人事業とパートの掛け持ちで注意すべきポイント

掛け持ちを始める際には、本業と副業の両立で起こりやすいトラブルに注意しましょう。
以下では、個人事業主がパートを掛け持ちする場合に直面しやすい具体的なトラブル事例を紹介します。
本業・副業のバランスとスケジュール管理
本業とパートを掛け持ちする場合、時間配分の誤りがトラブルの原因になりやすいです。
事業の納期遅延やパート出勤の遅れは信用を失うリスクがあります。
繁忙期はパートのシフトを調整し、本業の納期優先で予定を組むのが現実的な対策です。
スケジュール管理を徹底し、健康面の配慮も欠かさないことで、無理のない働き方を継続できます。
確定申告・記帳でよくあるミス
掛け持ちの場合、確定申告で記入漏れや収入の申告ミスが発生しやすくなります。
パート先で年末調整を受けても、個人事業の収入や経費とあわせて全ての所得を申告する必要があります。
よくある失敗は「パートの源泉徴収票を記載し忘れる」「経費や控除の重複計上」です。
会計ソフトや帳簿の管理を徹底し、提出前に必ず内容を見直しましょう。
個人事業主でもパート掛け持ちは可能!細かいルールに注意
個人事業主がパートやアルバイトを掛け持ちする場合、税金や社会保険、確定申告など細かいルールに注意が必要です。
正しい知識と準備で安心してダブルワークを進めるためにも、疑問点があれば税理士や社労士に相談しながら、自分に合った働き方を選びましょう。
当協会、厚生会では代表が社労士であるため、社会保険や働き方について相談できます。
- 今の働き方に悩んでいる
- 毎月の保険の負担が大きい
- これから個人事業主として事業をおこないたい
などのご相談にも対応していますので、ぜひお気軽にお問合せください。


