個人事業主は住宅ローンが通りにくいと言われています。
これは会社員と比べて収入が不安定になる部分が大きな要素です。
ただし、その他にもいくつかのハードルがあります。
そこで本記事では、個人事業主が住宅ローンの審査に通りにくい理由や審査に通るためのポイントについて解説します。

個人事業主の住宅ローンは通らない?

個人事業主の住宅ローンは通りにくいです。
その理由として、以下が挙げられます。
- 返済能力に不安が残る
- 収入が不安定
大きな要素は上記の2つです。
しかし、なかには「個人事業主でもこれだけ稼いでいる」と考える方もいるのではないでしょうか。
以下で、個人事業主に対してこれらの不安をもたれてしまう理由について解説します。
返済能力に不安が残る
個人事業主のローン審査は、安定収入がある会社員と比べて厳しい基準が設けられています。
会社員は定期的な給与支払いが保証されているのに対し、個人事業主の収入は事業の成績に左右されやすく、不安定な要素を含んでいます。
特に健康上の問題が発生した場合、事業活動が制限され、収入が大幅に減少するリスクがあります。
そのため金融機関は、個人事業主の返済能力を慎重に評価し、より詳細な審査を行う傾向にあります。
収入が不安定
個人事業主の収入は、その職種や事業形態によって大きく変動する可能性があります。
事業環境の変化に直接影響を受けやすく、好調な時期もあれば低迷する時期もあるため、安定性という観点では不確実な要素が多いと判断されがちです。
また、事業の将来性を正確に予測することが困難なため、金融機関は個人事業主に対して、より慎重な審査基準を適用する傾向にあります。
このような収入の変動リスクが、融資審査において不利に働いてしまいます。
個人事業主で住宅ローン審査に通るためのポイント

個人事業主で住宅ローン審査に通るためのポイントを解説します。
ただし、以下で挙げる項目はあくまで参考としてください。すべてを満たしているからといって審査に通るわけではありません。
- 所得額が多い
- 3期連続で所得が黒字
- 税金・保険料の未納がない
- 過去のローンの支払い履歴
- 自己資金の金額
- 付き合いのある金融機関を選ぶ
- 健康状態に問題がない
以下で、それぞれのポイントについて解説します。
所得額が多い
個人事業主のローン審査では、売上高ではなく経費を差し引いた所得額が重視されます。
会社員は給与支払証明書の額面がそのまま審査対象となりますが、個人事業主の場合は確定申告書の所得額が基準となります。
税負担を抑えるために経費を多めに計上すると、見かけの所得が低くなり、審査で不利な評価を受ける可能性があります。
その結果、融資額の減額や金利の上昇など、望ましくない条件が提示されることもあります。
3期連続で所得が黒字
個人事業主の住宅ローン審査では、安定した継続的な所得が重要です。
多くの金融機関は3期連続の黒字を求める傾向があります。
個人事業主は節税のために経費を多く計上して所得を抑える傾向にありますが、これが審査においてマイナス要因となることがあるのです。
特に赤字決算があると審査は一層厳しくなるため、住宅ローン申請を見据えた場合は、節税と所得のバランスを慎重に検討しましょう。
税金・保険料の未納がない
個人事業主の住宅ローン審査では、税金や社会保険料の納付状況が重要な審査項目となります。
金融機関は納税証明書などで納付状況を確認し、未納があれば返済能力や信用性に疑問を持たれる可能性が高くなります。
そのため、所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料などは必ず期限内に納付し、滞納のない状態でローン申請しましょう。
個人事業主の場合は、うっかり支払いを忘れるリスクにも注意してください。
過去のローンの支払い履歴
住宅ローンの審査では、申込者の過去の支払い履歴を確認するため、個人信用情報を確認されます。
クレジットカードの支払いやその他のローン返済における延滞記録は、金融機関によって厳しくチェックされます。
これは、過去の延滞が将来の住宅ローン返済にも影響する可能性があると判断されるためです。
不安がある方は、事前に信用情報機関に開示請求を行い、自身の信用情報を確認してみましょう。
自己資金の金額
個人事業主が住宅ローンの審査を通過しやすくするためには、十分な自己資金を用意しておきましょう。
これにより借入額を抑えることができ、年収に対する返済負担率を下げられます。
返済負担率は年間返済額を年収で割って算出され、一般的に25%以下が望ましいとされています。
また、まとまった自己資金があると、計画的な資金管理能力の証明にもなり、金融機関からの信用度が高まります。
付き合いのある金融機関を選ぶ
住宅ローンの審査において、多くの金融機関は申込者との取引実績も考慮に入れています。
特に個人事業主の場合、普段から事業資金の取引がある地方銀行や信用金庫では、事業の状況や収支の実態をより正確に把握できているため、審査が通りやすくなる可能性があります。
ただし、健康状態などの基本的な審査項目ほどの重要度ではありません。
健康状態に問題がない
住宅ローンの審査では、年齢や健康状態も重要な判断基準です。
特に、ほとんどの金融機関が加入を義務付けている団体信用生命保険(団信)では、健康状態の告知が必要で、持病や既往症がある場合は加入できないケースがあります。
また、高年齢での申し込みの場合は、頭金を多く用意したり返済期間を短縮したりするなど、借入額を抑える工夫が求められます。
個人事業主が住宅ローンを借りるためには?

個人事業主が住宅ローンを借りるためには、大きく2つのポイントがあります。
- 節税をしすぎない
- ローンを完済する
合わせて、住宅ローンを申し込める年収の目安についても解説します。
節税をしすぎない
個人事業主は節税対策として経費を多く計上し所得を抑える傾向にありますが、住宅ローンの審査においては不利に働く可能性があります。
所得が少なく見えることで返済能力が低いと判断され、審査に通りにくくなるためです。
そのため、住宅ローンの利用を検討している場合は、必要以上の節税は控えめにし、適正な所得を確保しましょう。
ローンを完済する
住宅ローンの審査では、マイカーローンやカードローン、事業用資金など、すべての既存借入について申告が必要です。
借入件数が多いほど、また総額が高額になるほど、審査において不利な評価を受ける可能性が高くなります。
そのため、住宅ローンの申し込みを検討している場合は、事前に既存の借入を完済するか、少なくとも借入件数や総額を減らすなどの対策を講じましょう。
個人事業主が住宅ローンを申し込める年収の目安は?
個人事業主が住宅ローンを申し込む際の年収は、経費控除後の所得です。
所得額について、一概には言えませんが、300万円以上であれば審査に通りやすい傾向があるといわれています。
ただし、どれだけ年収が高くても事業を開始してからの年数が浅い場合は、審査に通りにくくなる可能性があります。
個人事業主が住宅ローンに申し込む際の必要書類

| 本人確認書類 | 【必須書類】 ・健康保険証 【以下の中からいずれか1点】 ・運転免許証 ・パスポート ・個人番号カード ・住民票写し ・公共料金の領収証 |
| 収入を証明する書類 | ・確定申告書控え(直近2年分) ・所得税の納税証明書(直近2年分) |
| 借り入れに関する書類 | ・返済予定表 ・返済口座の通帳 ※口座名義人・口座番号・直近3ヵ月の返済状況を確認 |
| 物件に関する書類 | ・売買契約書 ・重要事項説明書 |
住宅ローンの審査に必要な書類のうち、本人確認や物件関連の書類は職業を問わず共通です。
しかし、収入証明に関しては、会社員と個人事業主で大きく異なります。
会社員は主に住民税課税決定通知書で収入を確認できますが、個人事業主の場合は確定申告書の控えが必要となります
個人事業主が住宅ローンを組む際に知っておきたいポイント

個人事業主が住宅ローンを組む際には「住宅ローン控除」と「店舗兼住宅対応」の2つについても理解しておきましょう。
個人事業主として事業を続けるのであれば、理解しておくべき項目です。
以下でそれぞれについて解説しますので、審査前に確認しておきましょう。
住宅ローン控除について
個人事業主も住宅ローン控除を利用できますが、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 借入期間が10年超
- 年収3,000万円以下
- 購入する物件の床面積が50㎡以上
- 居住用エリアが1/2以上ある
- 居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていない
- 購入日から半年以内に住み始めている
特に自宅兼事業所の場合は、事業用面積が条件を満たすか注意が必要です。
控除手続きは毎年の確定申告時に行う必要があり、会社員のような年末調整での手続きはできません。
店舗兼住宅に対応しているか?
個人事業主が住宅の一部を店舗や事務所として使用する「店舗兼住宅」の場合、住宅ローンの対応は金融機関によって異なります。
一部の金融機関では店舗併用住宅を住宅ローンの対象外としていますが、条件付きで融資を検討する金融機関もあります。
そのため、住宅ローンの申し込みを検討する際は、事前に各金融機関の店舗併用住宅に対する融資方針を確認しておきましょう。
個人事業主でも住宅ローンの審査は通る

個人事業主でも住宅ローンの審査が通らないということはありません。
一定の条件を満たしていれば、個人事業主でも住宅ローンは組めます。
ただし、金融機関によって審査項目や条件は異なるので、まずは一度仮審査を受けてみると良いでしょう。


