税理士・弁護士・司法書士など、士業と一重に言ってもさまざまな業種があります。
いずれにおいても仕事を続けるなかで悩みの一つとなるのが「独立」ではないでしょうか。
さらに、独立するとなれば個人事業主として独立するのか?法人として独立するのか?に悩まれるかと思います。
本記事では、士業の独立や個人事業主と法人の選び方について解説します。

どの士業なら個人事業主or法人に向いている?

前提として、「どの士業だから個人事業主の方が良い」「どの士業だから法人が良い」というものはありません。
たとえば、士業には主に「弁護士、司法書士、弁理士、税理士、社会保険労務士、行政書士」などがあります。
しかし、「弁護士だから個人事業主の方がメリットを得られる」といったものはないのです。
基本的には、どの士業においても、個人事業主や法人のメリット・デメリットは変わりません。
士業が独立するメリットは5つ

個人事業主・法人を検討する前に、独立をすべきかどうかを改めて考えてみましょう。
そこで、士業が独立するメリットについて解説します。
主なメリットは、以下の5つです。
- 自分のペースで仕事ができる
- 収入を増やしやすい
- 自分で意思決定できる
- 人間関係の悩みがなくなる
- 定年がない
それぞれのメリットを得られる理由について、以下で解説します。
自分のペースで仕事ができる
士業が独立するメリットの一つは、自分のペースで仕事ができることです。
独立開業により、仕事量や休暇を自由に調整できるようになります。
たとえば、勤務する場合と違い、忙しい時期には集中的に働き、プライベートを優先したい時期には仕事をセーブできます。
また、体調不良時なども、業務量に合わせて休めます。
収入を増やしやすい
士業で独立すると、収入を増やしやすくなります。
なぜなら、独立した場合であれば、仕事量が直接収入に反映されるからです。
そのため、努力次第で大幅な収入増が可能になります。
高い目標を持つ人にとって大きな魅力となり、仕事へのモチベーション向上にもつながるでしょう
自分で意思決定できる
士業で独立すれば、意思決定はすべて自分になります。
すべての決定権が自分にあるので、仕事の選択や進め方を自由に決められます。
組織の一員の場合は、最終判断が上司に委ねられますが、独立後は業務内容、スケジュール、仕事の受諾など全てを自分で決定できます。
これにより、やりたくない仕事を強制されることがなくなり、自ら選んだ仕事に取り組めます。
また、自由な働き方になることで、やりがいも増すでしょう。
人間関係の悩みがなくなる
士業で独立すれば、人間関係の悩みもなくなります。
独立すると、関わる人々を自分で選べるため、ストレスの多い人間関係を避けられるからです。
たとえば、会社組織では、苦手な同僚やパワハラ上司との関係に悩まされるケースがあります。
しかし、独立をすれば、これらの状況を回避できます。
独立後は、好きな人や良好な関係を築けるクライアントとのみ仕事をすることが可能になり、ストレスが大幅に減少します。
定年がない
士業で独立すれば、定年という概念はなくなります。
独立した士業は、年齢に関係なく働き続けられるからです。
一般企業では定年が設定されていますが、独立士業には定年がありません。
知識と経験を活かせる仕事なので、高齢でも活躍できます。
実際に90歳近くまで現役で働く士業の方や、一般的な定年退職後に独立する人もいます。
士業が独立するデメリット3つ

士業の独立は、メリットだけではありません。
以下でデメリットを解説するので、両者も加味した上で独立を検討しましょう。
主なデメリットは、以下の3つです。
- 収入が不安定になる
- 自分で営業しなければならない
- 経営のリスクがある
それぞれの具体的な内容について解説します。
収入が不安定になる
士業で独立すると、収入が不安定になりやすいです。
仕事量に応じて収入が変動するため、安定した収入を得るのが難しくなるのです。
勤務する場合とは異なり、仕事がなければ収入はありません。
特にスポット業務が多い行政書士などの場合、安定した売上を維持するのは困難です。
このため、固定収入や継続的な依頼を確保する工夫が必要となります。
自分で営業しなければならない
士業として独立すると、自分で営業活動をしなければなりません。
資格だけでは顧客は集まらず、自ら積極的に顧客獲得に向けたアプローチが必要となります。
とくに昨今は、士業の競合も多く、営業ができない場合は廃業に追い込まれる可能性があります。
参考として、いくつかの士業の人数を調査してみました。
- 東京弁護士会会員数…9,077名
- 東京都社会保険労務士会会員数…11,674名
- 東京都 行政書士会会員数…7,859名
- 東京司法書士会会員数…4,634名
上記は、東京都に限定されており、あくまで会に所属している人数です。
そのため、実際の人数は上記の数よりも多いと想定されます。
これだけの士業がいるなかで、営業をしないで仕事を獲得するのは困難です。
経営のリスクがある
独立するからには、経営のリスクも考えておかなければなりません。
独立した事務所の経営者として、収支のバランスを取る責任を負うことになります。
そのため、単に業務をこなすだけではなく、支出管理などのスキルも求められます。
士業で独立するなら個人事業主と法人どっちがいい?

士業で独立する際に、個人事業主と法人、どちらが良いとは一概に言えません。
個人事業主にも法人にもメリット・デメリットがあるからです。
一つの考え方として、「目指す目標」や「現在の売上」から検討する方法があります。
たとえば、将来的に多事務所展開をしたり、事業を大きくしたりしたいと考えているのであれば、法人とした方が良いでしょう。
反対に、現在の売上が不安定であったり、月商100万円以上を超えない程度であれば個人事業主で良いでしょう。
具体的にどちらの方が向いているかは、税理士などの専門家に相談しながら決めると良いです。
士業の独立における基本パターン
士業の独立で基本的なパターンは、個人事業主から法人にするケースです。
これは士業に関わらず、多くの業種で同じ傾向がみられます。
多くの業種が個人事業主として独立する理由は、リスクが低いからです。
法人にした場合は、会社としての経営リスクも発生します。
そのため、まずは個人事業主としてマイペースに活動するケースが多い傾向にあります。
士業が個人事業主として開業するメリット

士業が個人事業主として開業するメリットは、多くありません。
主なメリットは、開業の手続きが簡単で、初期投資が少なくて済むことです。
開業手続きや税金申告が比較的容易で、専門家の助けなしに自己管理できます。
開業届の提出だけで開業でき、確定申告ソフトを使えば自分で税務処理ができます。
これにより、コストを抑えながら小規模から事業を始められ、徐々に実績を積んでいけるのです。
士業としてのキャリアをスタートさせるには、個人事業主から始めてみるのも良いでしょう。
士業が法人設立するメリット

士業が法人設立するメリットは、3つあります。
- 節税対策に有利
- 信用力が高くなる
- 事業の拡大がしやすい
とくに、今後事業の拡大を考えているのであれば、法人設立が向いているといえます。
以下でそれぞれのメリットについて、具体的に解説します。
節税対策に有利
士業が法人設立するメリットの一つは、節税対策に有利なことです。
法人化すれば、個人事業主よりも税制上の優遇措置を受けられます。
たとえば、高収益の場合、法人税の適用により個人事業主として納税するよりも税負担が軽減されます。
また、赤字の繰越期間が個人事業主の3年に比べて法人ではより長期間可能です。
これらの税制上の利点により、法人化は長期的な財務計画において有利に働き、事業の安定性と成長に寄与します。
信用力が高くなる
士業が法人設立するメリットとして、信用力が高くなる点も挙げられます。
法人化により事業の継続性が高まり、顧客からの信頼が増すためです。
個人事務所では事業主の引退や死亡により事業が終了しますが、法人では事業が存続できます。
この事業継続性の高さは、特に大企業の顧客にとって重要な選考基準となります。
法人化することで、長期的なビジネス関係を構築しやすくなり、より大きな案件や安定した顧客を獲得できる可能性が高まります。
事業の拡大がしやすい
士業が法人設立をすると、事業の拡大もしやすくなります。
法人化により、他の専門家を雇用し、多様な顧客ニーズに対応できるようになるからです。
また、支店展開も可能となり、事業規模を大きく拡大する機会が生まれます。
顧客の様々な要望に応えられる体制を整えることで、競争力が高まり、事業成長の可能性が大きく広がります。
士業の独立におすすめの方法は個人事業主から法人化

今回の記事では、士業の独立方法として個人事業主と法人の2つについて解説しました。
どちらにもメリットはありますが、基本的なパターンは個人事業主でスタートし、準備をしながら法人設立に向けて動いていく方法が一番合理的です。
いきなり多くの売上が見込める場合は法人設立したほうがいいですが、法人設立にはお金がかかりますし、勢いで法人からスタートしたけど売上が立たずに無駄に税金を払ってしまう方も多いです。
とくに事務所をもつ場合であれば、個人事業主として法人化に向けた資金を貯めていく方法が有効的でしょう。
個人事業主として独立するなら社会保険加入も検討

士業で個人事業主として独立するのであれば、社会保険への加入も検討しましょう。
個人事業主である場合の大きなデメリットは、国民健康保険料が収入に合わせて高くなる点です。
とくに1案件の単価が高い士業の場合は、国民健康保険料の高さから社会保険への加入を検討する方も多いかと思います。
しかし、全国個人事業厚生会であれば、個人事業主でありながら社会保険へ加入できます。
ですから、保険料の負担を理由に急いで法人を設立する必要はありません。
しかも、いつでも退会可能なので、法人設立するから退会したいといった場合にも対応可能です。
具体的な内容については、以下のリンクからご確認ください。


